「サンダーソニア、好きなんですか?」

「いや、特別好きってわけじゃない
俺としてはこっちの方が気に入った」


そう言って
手にしてるベルフラワーに優しく触れる

その榊の横顔は声と同じく嬉しそうで

少しくすぐったい



「ただ……昔よく見た花のひとつだったからな
懐かしいと思っただけだ
…それで、急にどうしたんだ?」



迷惑ではなさそうでなによりだったけど
榊は本当に不思議そう


確かに誕生日でもなんでもないのに

いきなり、それも男の人に花束を贈るのは自分でもどうかと思う



けど、昨日

おばあさんにお給料を貰った時に、本当にふと
これを使って榊達に何か返せないかって思った


花には花言葉がある


昔誰かに言われた

謝罪や感謝の気持ちを伝え辛い時は
その意味を持つ植物に思いを託す方法もあるって


だから昨日おばあさんに
お礼や感謝の意味を持つ花を教えてもらって

教えてもらった花の中から
一番榊に合ってるって思って選んだのが


あのベルフラワー