「…」



地面に座り込んだ榊の腕の中にすっぽり収まる


驚きよりも先に、感じたのは強い怒り

自分勝手なこの人に苛ついた



「離して!」


声を荒げて、榊の体を叩く


「放っておいてよ!私なんて!!」


榊の腕から逃れようと暴れるけど
力が強くて敵わない

ますます苛立ちは募る


「死ななきゃいけないのっ!
死にたいの!終わらせたいの!!」


泣きながら感情のままに叫ぶ

あたりに響く自分の叫び声

金切声の様なそれは自分でも耳障りだと感じた


「佐奈、お前は勘違いしてるぞ」


叫び声にも抵抗にも動じず
榊は冷静な顔で私に言葉を向ける


「確かに殺してやるとは言った
けどそれは、お前の命を奪うって意味じゃない」

「…………」


榊のその指摘に私は固まった


……
…………
………………ど、いう……こと……?




「俺が殺そうと、奪おうとしてるのはー」





「お前のその自分を殺そうとする心」