……どうして私は


普通に生きれないの?


どうして


皆が『普通』に出来てることが出来ないの?



「…」



情緒不安定もいいところ

思考を、感情を制御できない


心の、頭の中がぐちゃぐちゃで……


本心と偽心が区別できない



……もうなにもかも分からない



「…」



視界の端に映るのは、あの崖


吸い寄せられるように足が動く


崖の向こう側にある赤い赤い夕日は
自分が腕を切りつけた時に流れる血と同じ色

流れる血を見てると少しだけ落ち着いてくる


真っ赤な夕日


……あの赤には、どうしたら近付けるだろう



赤い夕日はゆっくりと沈んでいく



沈む、から
落ちたら、近付ける?



…………落ちたら…



「だから、俺の自宅前で飛び降りは止めろ」



左手に圧迫感

迷惑そうな声



だけど私は振り返らず、また1歩前に進む



「はぁ……
まったく頑固なやつだ、なっ!」