名前を呟くと
間を置かずに後ろから声が返ってきて

驚いて振り返ると


「……榊」


そこには榊がいた

手にはコンビニの袋を持って


「ああ。……大丈夫か?ふらついてるぞ」


榊は私に近付くと、そのまま私の額に手をあてた


「お前、熱出てるな」


呆れたように指摘してくる



……冷たいのに、あたたかい手



「なにもこんな状態の時まで作業する必要は……」

「榊」


説教じみた言葉を遮って、私は榊を見上げた


「私を、助けた?」

「…………何の事だ?」


一瞬、間をあけて首を傾げる榊

とぼけてるのか、本当に心当たりがないのか、表情から読み取れない


「海で、私を助けた?」


視界が揺れる

倒れそうになるのをなんとか堪えながら問い詰める


榊をそんな私をじっと見下ろして



「お前はどんな答えが欲しいんだ?」



真顔で聞いてきた