焦燥感に襲われる


「返して」


跳び跳ねて、手を伸ばす

榊から工具を取り返そうと躍起になる

けど、榊は悠々とした態度でそれを難なく回避する


「そんなに早く終わらせたいのか」

「、返して」


……届かない


私と榊じゃ身長さがありすぎる

自分の背の小ささをこれほど恨んだのは今日が初めてだ


「やれやれ。死に急ぐとはこのことか」


顔を歪めて、ため息をつく榊

榊の意図が分からず苛立ちが募る

社を直せと言ったのは榊の方だ
なのに今は直すなって言う


意味が分からない

このひとは一体何を考えているんだろう



「返して、榊!」



初めて大声をあげて榊に抗議した

それに驚いたのか
榊がぴたりと動きを止める