「…」



泣きたい


泣いてしまいたい



だけど、榊の前で泣いて困らせたくない

ぐっと自分の体を押さえつける



「なぁ、佐奈
お前は、生きたくはないのか?」


声のトーンを落として榊が聞いてくる


「………生きたく、ないです…」


生きている価値がない

何も出来ない人間には


ただ迷惑をかけて、それで終わりだ


私が選んできた選択肢はどれも間違いで
ひとつも正解がなくて絶望した


考えて

考えて考えて考えて


出した結論だって

結局は間違いで


誰かを、自分を、苦しませるだけだった


失敗、間違い

そればかりなら


もう選びたくもない



生きていたくない



「少しも?」







「………はい」



…………答えた声は震えていて



それが答えだった