「顔色悪いぞ。大丈夫か?」


心なしか心配そうな表情


「…はい」


距離を取りながらそう返す

自分でも分かるほど弱々しく心許ない声だった



「佐奈。手、出せ」

「…手?」

「ああ」


言われるがまま両手を前に出す


すると彼は懐から何かを取り出して
それを私の手のひらの上に落とした


「駄賃だ」

「…あめと、イヤリング?」


そこに鎮座するのは
カラフルな包みにつつまれたあめと

見る角度によって色が変わる
不思議な石がはめ込まれたシンプルなデザインのイヤリング


「疲れた時は甘いものだろ
後は、ほら。女はそういうの好きだろ?」


…若干偏見が混ざってる


「…」


じっとそれを見下ろす

傷や汚れの見当たらない真新しいイヤリング

多分、新品


……私のためにわざわざ用意してくれたのかな