よたよたと危なっかしい足取りで歩いてくる小さな子供


幼い頃のあいつにそっくりだ


社の前までやってくると
背負っていたリュックの中から
少しつぶれた花束を取り出した


ベルフラワーの花束



「ままからのおとどけもの!」



言いながら社の前にそれを置く



「毎月毎月、律儀だな。あいつは」



苦笑を浮かべながら、それを眺める


いったいどれだけ『感謝』を届ければ気が済むのか


ああ、いや

それを言うなら一正の方がすごかったな


あいつは毎週毎週

俺に花を届けにきていたから



思い出してくすくすと笑えば

急に振り返った子供と

ぱちりと目が合う



「…………「さかき」?」



真ん丸の目をさらに丸くして

俺の名前を呟く



……まさか



「見えるのか?」


「やっぱりさかき!?」



驚いて声を返せば

その子供はぱぁっと表情を輝かせて
近寄ってくる


「なんで俺の名前を知ってる?」

「ままがいつもおはなししてくれる!」