ほんの少し、話すのを躊躇うような間

だけど榊は口を開いた


そういえばそんな事を言われた


「それは境遇やものの考え方が似てるって意味だ」

「境遇?」

「ばあさんの孫も親と上手くいっていない」


「その事もあって
今はあの店、ばあさんの家に住んでいる」


「けど、外に出ることもままならず
ばあさんの仕事を手伝うこともできず」


「何も出来ず
役立たずでいる自分に苛立ちながら
それでも笑って傍にいてくれるばあさんに
罪悪感を抱きながら、日々を過ごしてる」


「全く同じって訳じゃないが、似てるだろ?
お前に。自分を嫌って、自分を無価値だと思い込む所とかな」


「だからだろ
お前があいつに複雑な感情を抱くのは」


「自己嫌悪に同族庇護、否定に肯定
そういったものがお前の中で混ざりあってる」


「ばあさんの孫の
その後の姿を簡単に想像できたのは
自分がそうだったからだろ?」