翌日。

「昨日は本当にすみませんでした！」

躰を折って謝ってきた直木くんに、
「…別にいいよ、その後はちゃんと帰れたの？」

私は聞いた。

「はい、無事に帰ることができました」

そう返事をした直木くんに、私はそう…とだけ返事をした。

「あの…タクシー代なんですけれども、いくらくらいかかりましたか？」

直木くんが恐る恐ると言うように質問をしてきた。

「タクシー代は大丈夫よ、払わなくていいって」

「えっ…いや、でも…」

「いいのいいの、そんなにたいした額じゃなかったから」

…なんて、本当は宇奈月さんに出してもらったんだって言う話だけど。

「半分だけでも払わせてください」

「本当にいいから。

それよりも、例の彼女とはちゃんと話しあえたの？」

タクシー代から逃げるように、話題をすり替えた。