「“あなたは何を考えているのかわからない”――彼女たちからそう言われて別れを告げられていたんだ」

「そ、そうだったんですか…」

意外だ。

女なんて選び放題だろうと思っていたのに、そんなことを言われて別れを告げられていたとは…。

「こんな気持ちになったのは、初めてだ。

見ていて飽きないと思ったのは、君が初めてだ」

宇奈月さんはフッと微笑んだ。

そんな顔をして微笑む時があるんだと、私は思った。

お見合いの時に豪快に笑っているところしか見たことがなかった私は、彼がそんな顔をして微笑むんだと言うことに驚いた。

「結香」

宇奈月さんが私の名前を呼んだので、
「はい」

私は返事をした。

宇奈月さんは私の前に自分の手を差し出すと、
「手を繋いでもいいか？」
と、聞いてきた。