「な、何だ?」

宇奈月さんに驚かれても仕方がない。

私は、彼の頭をなでているのだから…。

「な、なでているんです…。

宇奈月さんが訳がわからないことを言ってて…それに対して、その…」

ああ、もう…私も私で何が言いたいんだ?

「じゃあ、僕もそうさせてもらう」

そう言った宇奈月さんに、
「えっ?」

私は首を傾げた。

そのとたん、宇奈月さんの手が私に向かって伸びてきたかと思ったら、私の頭をなでてきた。

何なんだろう…?

もう、何なんだろう…?

大きな手に頭をなでられて、安心してしまっている自分がいる。

「結香?」

宇奈月さんに名前を呼ばれて、我に返った。

「は、はい」

返事をしたら、
「手を離すぞ」

宇奈月さんはそう言って、それまでなでていた私の頭から手を離した。