「ずいぶんと飲んだみたいだな」

「私も止めたんですけど…」

何故か私たちの間に沈黙が流れた。

何だろう、すごい気まずい…。

まさか、こんなところで宇奈月さんに会うとは思ってもみなかったからどうすればいいのかわからない。

「じゃあ…」

駅に行ってきますねと言おうとしたら、
「ちょっと待って」

宇奈月さんが呼び止めたかと思ったら、スーツの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。

どこかに電話をかけ終えると、
「後少ししたらタクシーがくる」
と、言った。

「えっ、タクシーですか?」

そう聞き返した私に、
「普段からよく利用させてもらっているんだ。

後は向こうが彼の自宅まで送り届けてくれる」

宇奈月さんは答えた。

「そ、そうですか…」

テキパキとしているなと思いながら、私は返事をした。