「つきましたよ」

菅谷さんに声をかけられて、
「あ、ありがとうございます…」

私はお礼を言うと、車を降りた。

「おやすみなさい」

そう言った菅谷さんに、
「おやすみなさい…」

私が返事をしたことを確認すると、車が走り出した。

何かよくわからない人だったな…。

私は息を吐くと、目の前のタワーマンションに足を踏み入れたのだった。

「ただ今帰りました」

「おかえり」

カードキーを使ってドアを開けて中に足を踏み入れると、宇奈月さんに迎えられた。

「菅谷は?」

そう聞いてきた宇奈月さんに、
「もう帰りました」

私は答えると、靴を脱いだ。

「あの…お迎えとか結構なんで」

そう言った私に、宇奈月さんは首を傾げた。