「結香」

宇奈月さんと一緒に朝食を食べていたら、彼に名前を呼ばれた。

「はい」

私は箸を置いた。

今日の朝食は、私のリクエストで和食にしてもらった。

炊きたての白いご飯に醤油がフワリと香っている卵焼き、さわらの西京漬け、わかめと豆腐のみそ汁がテーブルのうえに並んでいた。

それだけでもすごいのに、味付けのりと梅干しとめかぶ納豆も並んでいたうえにに温かいほうじ茶もあった。

…うん、ここまできたらもう驚かなくなったよ。

「いや、食べながらでいい。

時間がないだろう」

宇奈月さんはそう言った後、
「今度の休み、何か用事があるか?」
と、聞いてきた。

「休みですか?

特に何もありませんが」

そう答えた私に、
「土曜日、もし君がよかったら…本当に、君がよかったらで構わないが、一緒にどこかへ出かけないか?」
と、宇奈月さんが言った。