アツの膝の上にそっと手をのせた。



一瞬ためらった後、アツはその手をギュッと握りしめてくれた。



冷たくなったお互いの手から微かに伝わる体温。



大好きだった温もり。




「大事な人を、幸せにしたい。」



「・・・え?」



「俺の夢。」



じゃあ私の夢も変わっちゃう。



大事な人の大事な人になりたい。



「コナミ・・・俺、お前の事泣かせてばっかだったよ?守ってやれなかった。でも、すごく好きだった。本当に大好きだった。」



好きだったと言ってもらえて嬉しいのに、その言葉が過去形になっているのが悲しくてたまらない。


アツの心の中にある傷が、目に見えてしまった様で・・・それがすごく痛くて、その傷を付けてしまったのは・・・私。



服の袖でグッと涙を拭いた。精一杯の笑顔をアツに向ける。


泣くなんてずるい。


これじゃまたアツが困ってしまう。



「いっぱい泣いたけど、いっぱい笑った。付き合ってなきゃ良かったなんて思った事ないよ?倉橋ももう、自分を責めないでね?・・・夢、叶うといいね。倉橋なら大丈夫だよ。きっと叶うから。」



答えはきけなかったけど、もういいんだ。



話せてよかった。



握られた手を離して、立ち上がったと同時に、強く掴まれた腕。



まっすぐ見つめる瞳に、溢れた出しそうな涙をこらえて、笑顔を作り続けた。



「お前が叶えて?」


「・・・ん?」



「お前じゃないと、俺の夢叶わないじゃん・・・」




.