受付カウンターを通り過ぎる時、何気なく目をやったお店の外の植え込みに座る後ろ姿。
・・・アツだ。
今しかない。
今がチャンスだ。
私は一度周りを見渡して、友達が近くにいない事を確認してから店を出た。
外に出ると、ブルッと体が震えた。
寒さからか、緊張からかは分からない。
静かに息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。
「寒くない?」
私の声を聞いたアツがビクリとして、こっちに視線を向ける。
驚いた様な、戸惑っている様な、そんな顔をした後すぐに視線は逸らされた。
「大丈夫。」
白い息が、冷たい空気に浮かび上がる。
別れてから初めて交わした短い会話。
嬉しいより、寂しい気持ちが浮き彫りになる。
私は、固くなった体を動かして、アツの隣に座った。
何か話さないと・・・そう思っても、今の状況をうまく使えずにいた。
ただアツが座る左側が異様に熱を持っている。
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