後輩には逆らえない

「どうやって仲良くなったんだ？」

友達がそんな質問をしてくるので、瑠衣は嘘をついて誤魔化す。言えるはずない。弱みを握られて付き合うことになったなど……。

その日の放課後、繭は瑠衣の教室にかばんを持ってやって来た。

「…何してるの？」

瑠衣がビクビクしながら訊ねると、繭は「付き合ってるんだし、一緒に帰りましょう。今日は木曜日だから、バレーボール部の練習はありませんよね」と笑う。

「わあ！繭ちゃん、そんなことまで知ってんの？ラブラブじゃん！」

友達がからかうが、瑠衣は笑えない。瑠衣は繭に何も話していない。なのに、繭は瑠衣の部活や部活の休みの日などを知っている。そんなことまで知ってるのか、と瑠衣は繭に対して恐怖を感じた。

「はい！ラブラブで〜す！」

繭は笑って瑠衣の腕に自分の腕を巻きつける。上目遣いで瑠衣を繭は見つめるが、それはまるで「余計なことを言ったら、バラすよ？」と無言の圧力をかけていた。

この後輩には、逆らえない。瑠衣は思った。