「えっと……」

首を傾げる瑠衣に、「馬鹿!!」と友達が言った。

「うちの高校で一番かわいいって有名な子だよ!」

そう言われてみれば、男子が噂をしているのを聞いたことがある。しかし、瑠衣の中でかわいい女の子といえば、ハリポタに登場するハーマイオニーだ。

「望月先輩、来てもらってもいいですか?」

繭は瑠衣を見つめる。友達が「ええ〜。なになに?いいな〜」と口々に言った。

それを無視して、繭は瑠衣を連れて行こうとする。

「望月先輩、来てください」

その猫目は、不思議な魔力が込められているように瑠衣は感じた。昔から猫は魔女の使いと言われ、ペストが流行った時などに駆除されることがあったらしい。

「ね?来てくれますよね?」

「……わかったよ」

瑠衣は友達に、先にお昼を食べていてくれ、と伝えて繭の後ろを歩く。

瑠衣は、繭と一度も話したことがない。というより、瑠衣は繭の存在すら知らなかったのだ。一体なぜ呼ばれたのだろうと瑠衣は不思議に思う。