「第五問!ホグワーツにある四つの寮の名前は?」

「グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン!」

「第六問!守護霊を呼び出す呪文は?」

「エクスペクト・パトローナム!」

どの問題も、ハリー・ポッターを何度も読んだ瑠衣には簡単すぎるものばかりだ。

「先輩、すごいですよ!ハリポタって分厚い本だし、キャラクターだっていっぱい登場するのにこんなに覚えてるなんて」

繭がそう言って笑う。その笑顔は、とてもかわいらしい。瑠衣は少しドキッとした。

「まあ、何回も読んでるし…。映画だって何回も観たから」

照れ臭くなって、瑠衣は繭から顔を背ける。大好きなものの話をするのはやっぱり楽しい。

「先輩がハリー・ポッターが好きなように、私も先輩が大好きなんです」

繭がそう言った刹那、ギュッと瑠衣に抱きついてくる。女子の体の柔らかさと、繭の突然の行動に瑠衣は驚いた。

行き場を失った手は、あたふたしている。ここに誰もいなくてよかったと瑠衣は思った。