<誰かにつけられてたらしい>



それもそうだろう。
皆、人の聞きづて。
自分に関係ないとなると、人づてに聞けば流行りの話題にはついていける。


人とは所詮、こんなものだ。
漣が若干心のうちと実際に表現する態度に違いがあるのはこの為だ。
人は他人のことになると関係ない。
そのことが頭に焼き付いているからだ。



小学6年の夏、友達がいじめられていた。

人付き合いが苦手な漣はいじめられるということには無関係で人に当たりさわりのないような態度をとり、いじめっ子にも気にいられ、いじめられることにもまた、無関係であった。


そんな漣に唯一話しかけさせたのが友達、いやそれ以上の関係になった小山田龍だった。
彼はいつもは表情1つ変えず、楽しいのかつまらないのかもわからない顔をしていて、クラスの皆は気味悪がり、クラスで孤立していた。
そんな感情を見せない龍が何を考えているのか知りたいといつしか漣は思っていた。


ある放課後

漣は思い切って話しかけた。
その緊張で汗ばんだ手に、普段人に、自分からなかなか興味をもたない漣を心配した父親が

「人をよく観察してメモを取ってみなさい。そうすればその人が興味を持っているものやその人自信の性格がわかってきっとみんなと仲良くなれるから」

と言ってプレゼントしてくれた手帳を握って。






「あの……」

「…………」

案の定龍は無言だった。


漣はがっかりした。


「……君は何を考えているの?友達とかいないの?」


「何も。友達と呼べそうな人はいないから。だってみんなこうじゃない。自分には関係ないからって色んなことから逃げるし、関わろうともしない。君だって表情を変えない僕を普段から何とも思ってなくて、それにたまたま興味が沸いただけだろう?」

【確かに…………】

「…でも、興味が沸いたから知ろうとしたじゃないか…!!」



「そうだね」

彼はそう言って笑った。
優しくて、今にも弾けてしまいそうな、これが笑顔なんだなって顔をしていた。

「じゃあまたね」

龍はそう言って帰っていった。