−約束の11時

漣は少し早く到着した。
しかし、友利はすでにいた。

「あれ?まだ50分にもなってないよね?」

「あっ、うん。早起きしたから…ね」

恥ずかしそうに言う友利に、漣はときめいた。

【か…かわいい】

「じゃ、行こうか」


漣の言葉に2人は約束場所であった学校から移動した。

実は、2人とも時間だけでなく場所も忘れていた。
しかし2人の共通は学校でしかないと思いきたのだ。
これだけわかりあえているからこそ、漣はあんな夢を見たのだろう。


野津高校までは遠くなかった。
歩いて30分もすればそれらしき建物が見えた。
それ以上に学校の自慢でもある、門に続く道の桜並木は立派なもので漣達を感動させた。

しばらく見物しながら歩いていると人影が近付いてきた。

野津高校の女子生徒だ。

「すいませーん…」

漣は声をかけると女子生徒は真ん丸な目を向け答えた。

「はい?なんでしょう」

「城戸高校の者です。最近野津高校で何人か連続で亡くなっているみたいで、その人達が感じた前兆の気配をこの子が感じたみたいで、調べようと思って…」


全ての理由や友利が感じたことや昨日見た物をその女子生徒に話すと彼女は話し始めた。

「そうね…。確かに似てる。私の親友…佐原絵里が死ぬ前に感じたり見た物と。彼女は言っていたわ。死ぬ直前の朝には、その2日前の下校途中に、絵里をつける銀色に輝く鎌を見たと…」


「…そうですか」

漣は溜め息をつく。
と同時に使い古された茶色いレザーの手帳にメモをとった。
これは漣のお気に入りで、父親に小学生の頃プレゼントされた物だ。
漣は何かあるとメモする癖があった。
もちろん4月3日。
今日の聞き込みのことも。

一通り話を聞き、メモをとり終えると女子生徒は去ろうとした。

「すっ、すいません。お名前は?」

「野津高校の2年生、加納若菜よ」

「僕らは城戸高校1年の黒木漣、篠塚友利です」

一応連絡先を交換した。

その後も色々な人に聞き込みをしたが、得られるのは同じ答えばかり。