そんな自分の本心とは裏腹に、どうも大胆な行動が取れないあたし。


…し、仕方ないよ。



だって……あたしだもん。



「耳まで真っ赤だね」

クスリと嘲笑をすると、そのあたしの耳朶をペロリと一舐めしてみせたから…


益々あたしの体温は上昇。



身体が熱くて熱くて…もう、本当にどうしようもないよ。


『バクバク…』、『ドクドク…』

今にも飛び出してしまうんじゃないかってくらいの心臓。


なのに今にもこの動きが止まってしまいそうな、
よく分からない錯覚に陥ってしまった。



ズルい…ズルいズルい…っ、


…樹は、狡い。



そんな時─。


耳元に熱く甘い吐息が微かに掠めたと思うと、



その自分の耳元で囁かれる。




「─ねぇ、アイリ……」


瞬間、一気にあたしの全身の熱が顔に注ぎ込まれる。



そのスピードは速く、

もう誰の手にも止められない。