ゾクゾクッとしたこの言葉にならない感覚には、どうも弱いみたい。
「…い、……樹っ」
その侵入をした樹の手があたしの胸に触れた時…咄嗟にその腕をあたしは掴む。
だって、あたし帰ってきてそのままだし、
それに…いきなりなんてなんの準備もしてないよぉ。
下着だって…何だって、
「何?」
いたって表情を崩さずに樹は言うとそのあたしが掴んだ腕なんてお構いなしに“行為”を続ける。
触れられれば触れられる程に余裕なんて無くなって。
ていうか元からあたしには余裕なんて無いから、あっという間にノックアウト。
「─……、ダメだよ…っ……」
片方の手はまだ胸元にあってその反対の右の手はあたしの内股を撫でる。
そして樹の綺麗な唇があたしの首に触れて、ザラリとしたモノが線を引く様に触れてくる感覚。
「っ……ん、…」
顔を逸らして身体を捻り抵抗してもそんなの何の役にも立たない。
「ふーん……“イイ”じゃ、なくて?」
耳元で囁かれるその言葉にあたしの身体はボッと火が付いたように熱く火照る。
こういう言葉攻めは樹の得意分野だ…
何か、やっぱりズルイ。
樹はいっつも余裕で、こうやって今みたいに、あたしを見降ろしてこの表情。
自分にいつも主導権があって…あたしに拒否権何か無いって思ってるんだよきっと。…けど、その通り。なのかもしれない。
だって、
今だってこうしてあたしは耳まで赤くして、なのにもっと触れてて欲しいって思ってる。