今の俺が不機嫌そうな顔をしていたのか…それとも別の表情をしていたのかは分からないけど、

確かなことは今この瞬間。


愛梨が俺の言いたいことを全く理解していないということ。

それどころか話になっていないということ。



だけど愛梨が言った『何て答えたの?』って言葉は、俺にとっては苛々の元になっているわけで。


ていうか…

俺に対してその質問は無いと思う。


「何て答えたの?ってさ……じゃぁ何て答えたと思う?」

すると愛梨の表情が曇る。


それでもって黙ったまま何も言わない。


「……愛梨はどうして聞くの?そんなこと」

ポロポロと涙を零して俺を見る。
いつもなら目を逸らすのにちゃんと今は逸らさずにいることが珍しくて、


けど泣けばいいって考えじゃないからね、俺は。


「どう答えて欲しいわけ?」

冷たくも無く、優しくも無い俺の声のトーン。


グッと見据える様にして上から見下ろすような形で愛梨を見る。

目が合えば合う程にその愛梨の大きな瞳からは涙が溢れてくる、本当は泣かせたいわじゃないけど…