小動物みたいに潤ませた瞳に涙をいっぱい溜めて俺から顔を逸らす。


基本的こういう顔には弱い…
小さい動物とか子供とか、だから嫌なんだよ。


「でもあっちが勝手に抱き付いてきただけ…で、勝手に好きだとか何だとか言っただけ」

後々バレて面倒臭い事になるならもう言ってしまえ。

と、何か投げやりな態度。


でもまぁ…仕方ない。


「何て答えたの…??」

不意に見上げたその大きな瞳には俺が映っていて、これは涙のせいかも。


けど…『何て答えたの?』って、本気で言ってんのかよ、コイツは。

はぁっと深く呆れるような気持が丸分かりな溜め息を肩の力を抜くのと同時に吐くと、その溜め息のせいか…


もっと悲しそうな顔をし出すから、本当に、面倒。

けどそんな面倒なことも我慢できる自分はやっぱり相手が愛梨だからだろう。


「何て答えたの?」

と逆にそう質問してみれば『え?』とでも言いたげな口をして俺をボーっと見つめる。


少しの変な感覚になりそうな空気が過ぎ去ると、

「……だから、何て…─」

「そうじゃないでしょ」


愛梨の言葉を遮る様に俺は言う。