教室に入って自分の机の横に鞄を掛ける。


「…あ、おはよう」

隣で眠そうに欠伸をしながらiPodで音楽を聞いてる白井くんにあいさつ。



けど側に居て分かるくらいの大音量。


絶対聞こえてない…



しかしあたしの視線に気付いたのか、白井くんはイヤホンを外した。


「何?すげぇ視線感じたんだけど」

低くて少しハスキーな声。

特徴的な八重歯は白井くんのチャームポイントかな?


「ううん、ただ『おはよう』って言っただけだよ」

とあたしはニコッと笑って言う。


「あー、そういうこと。
…ん、はよー」



“はよー”?

男の子って何でそう言うんだろ?


「あ!そう言えば…彼女さんと仲直り出来た?」

「…あぁ、まぁ…うん、出来た」


少し照れくさそうに言うと『サンキュ』と小さく呟いて、
再びイヤホンを耳に入れてしまった。



そっか…!

仲直り出来たかぁ!!


あたしもとうとう人から恋愛相談されるレベルになれたのかな…?



ふふふっ。


何かニヤケちゃう!



そのまま視線を樹の方にずらす。


…ん。

何か不機嫌そう?



あっ!


今プイってした…!!



「樹?」

そのまま近付いて、樹の顔を覗き込む。


「……。」

無視。


「いーつーきー?」

「……。」


また無視ですか。