「ま、まぁ…とりあえず落ち着いて……ね?」
だんだんと悪くなる空気の中で愛梨がなだめる様に言った。
「うん、帰って欲しい」
とまた棒読み。
仕方ないでしょ?無意識にもそうなっちゃうんだから。
仕方ない仕方ない。
かなり仕方ない。
「もしかしてまた別れたの?」
「ちょっと!樹…もしそうだったらどうするの!?!?」
小さく耳元でコソコソ愛梨が言う。
けどそんな愛梨の言葉は色んな意味で良くないと思うんだけど、どうかな?
「……お前等…」
目を瞑ったまま何かを堪える様な感じで奴は言うと、勢い良く重なるマットの上にドスンと腰を下ろした。
…ん?
「別に、別れてねぇし…別れてねぇけど……何か勝手に怒ってるんだよ…分かんねぇけど」
ポツリポツリと小さく呟く。
アレ?結構もしかしたらダメージ大きかったの?
そんなことを考えてる間に俺の腕の中に居た筈の愛梨がスッポリ消えていた。
「…愛…っ」
「それで…いつから梓紗さん不機嫌なの?」
は、い?
「…一昨日くらい」
え、普通に答えちゃうんだ。へぇ…答えちゃうんだ。
そして始まったのは【愛梨の恋愛相談室】とでも言おうか。
全くと言って良い程、俺の思うにその相談室は何の役にも立たないと思うけど…始まってしまったものは仕方なくて。
とりあえずそれを聞くしか出来ず、俺の一日は終わる訳で。