「へぇ…
で?…何で“コレ”がここに居る訳?」


と、嫌な物を見るような目で俺は奴を見た。


実際。

『嫌な物』ってのは正解なんだけどね。



…かなりかなり、凄く。



「俺は物じゃねぇよ…」

少し何かを堪えてるように奴は言うと、八重歯をギリギリとさせた。


「と!…とにかく!!
白井くんにそんな言い方ばっかしちゃ駄目だよ…っ」


今度は何を言い出すんだよ。


俺が悪い訳?

意味不明…なんだけど。




「何で庇う訳?」

苛々してくるのを抑えつつも、下から俺を見上げる愛梨に言う。


やっぱりいつも…


苛々したりムカついたりすると逆にこういう、

刺々しい言い方になる。


「そんなの決まってるよ!!…白井くんはあたしがあの人に変な事されそうになったの、助けてくれたんだよ!?」


助けた…?

変な、こと。って……



「何された?」

グッと勢い良く愛梨の肩を掴んで問い詰める。


「…え、……あ…っ」

「だから変なことって何された…!?」


頭の中が真っ白になりかけたその時。



─クイッ!


「…っ!」

体制が崩れてそのまま後ろに一歩下がる。