「……。」
「そーやってさ?いつもいつも勝手に一人で拗ねちゃって??本当は嫌な癖に言わないでいっつーーーも勝手にキレてるし」
ウザ。
そう思いながら眉を顰めて視線を明後日の方向に移す。
…けど、あれ?
何でこの人そこまで分かるんだろ……
まるで見てたみたいな、
「覗き見」
ポツリと小さく呟いて、逸らしてた視線を目の前の二人に向ける。
すると翔太はその俺と重なった視線から逃げる様に、頬をポリポリと掻きながら適当な方向を向いた。
「本当に自己中だよね~、王子って」
「……美菜ちゃん…」
もっと強気でコイツも言った方がいいよね。
じゃなきゃなかなか勝てないと思うんだけど…早川には。
ってそうじゃないでしょ。
俺かなり言いたい放題言われてるような気がするんだけど…
「自己中…」
「そうそう。もっとさぁ…色んな意味で素直になればいいのに」
うんうんと何度も一人で早川は頷いたまま、俺にまるで『恋愛の心得』みたいなのを教えてる気になってるのかもしれない。
凄いムカつくんだけどね。
「素直とか意味不明」
何か帰れなそうな気がしたから、靴を脱いで下駄箱に入れるとさっき適当にほん投げた上履きを履いた。