この人…本当、面倒臭いっていうか……無理って言うか。


「『何な訳?』だってぇ~」

と言うなり。

ワザとらしく下駄箱に寄り掛かって、格好付けたナルシスとみたいに顎に手を添えて。


……俺そんな言い方して無い。



して無い。


して無いんだけど…




「ウザ」


……。


「っはぁ!?!?」

「あー!!……美菜ちゃん落ち着いて落ち着いて」

眉を八の字にして、まぁまぁと手で早川を宥める様にした。


「…超、ウザ……」

ボソッと小さく呟く。


「何よ何よ何よ!」

と今度は人差し指を伸ばして俺の目の前にグッと近付けてくる。


…う゛っ!


何なんだよ……本当に。


「あぁぁぁ~!美菜がおかしくなってきちゃったぁ~~…」

頭を抱えたまま翔太は床に座り込む。


「はぁ…」

俺、帰っていいの?それとも後少しぐらいはここに居た方がいいの…?


分んないなぁ。



「王子さぁ!自分がモテるのは良いのに愛梨は駄目なんだー!!」


…酔っ払い、みたい。