うわきうわき…
浮気!!
考えてはいけないとか思いつつもあたしの脳内は勝手な盛り上がりを開始。
頭の中にある真っ白なボードに太く黒字で書かれた『浮気』の文字。
それだけで目元が潤みそうだ。
ま…まさか、まさか!!
「愛梨さーん?大丈夫ですかぁ〜」
目の前で確実にやる気が無さそうな感じで手をユラユラと揺らし、
あたしに意識があるか確認しようとする美菜。
「だいじょ…ぶ」
いや、大丈夫ではない。
ゴクリと生唾を飲み込むと、妙に変な汗が流れるような感覚に堕ちる。
はぁ…。
相手が樹じゃなかったら簡単に聞けるのかもしれないけど…
って!!
そんなこと…考えただけで命取りだし…、
それに、『樹じゃなかったら』なんて…そんなことを考えたいわけじゃなくてですね…?
「ま、とりあえず“王子”に聞いてみなよ!」
相変わらずあたしを弄ることは忘れないんだね…美菜は。
と、悲しくもあたしは遠い目で美菜を見つめた。
ていうか見つめるしか無かったのかもしれないけど…
「まぁ…そうだよね」
けとやっぱり、
俄然弱気。