「それに…って?」


やっぱりすぐ気になることがあると『どうして』『何で?』って。

愛梨は何でもすぐに聞き返す癖がある、その癖…俺には全然言いたいことを言ってくれない。


って、…また男の癖にねちっこい事を考えてる自分が嫌だ。


「心配なんだよね、愛ちゃんみたいなタイプは……本当、」

翔太のよくする、口の先を尖らせる仕草をしながらそう言った。


…けど、

今の発言は翔太にしてはなかなか正論を言ってると思う、けど…お前が愛梨を心配する必要は無いだろ。と思う。


「そうそう、……愛梨は本当、押しに弱いし?ドMだし」

うわ。


「ド、ド…っ!?」

案の定、急な早川の正しい言葉に愛梨は顔を真っ赤にさせて目をパチクリさせて、あたふた。あたふた。


だから…そういうのがダメなんだって。

「それよ、それ」

と、今度は俺の気持ちを代弁するようにして、早川が言う。

そしてその指を愛梨の頬に突き刺す。



「そういうのが、また可愛かったりしちゃうんだよ、ね…?いっちゃん??」


ったく…、本当にうっとうしい奴。

とか思って、無意識に深く長い溜め息が零れる。


最悪だ。本当に最悪だ。

考えてみれば本当に最悪なんだよね……

こういうのって、偶然なんていうんだか知らないけど…なかなかあるよなもんじゃないし。普通は無い。

漫画とかドラマとかじゃあるまいし…


ある日、突然現れた嫌な男、それでもって冬休みが明けて新学期が始まって…そしたら転校生が来て、しかも同じクラス。


普通じゃない、…大体、愛梨といると普通じゃないことばっか起きる。