…愛梨side




「…何それっ!?
完璧、愛梨にロックオンじゃん!」


烏龍茶を片手に、目を真ん丸くさせて美菜は言った。

その、『ロックオン』って表現は……いまいち分かんないんだけど、ね。


「だよね、つか…樹マジ大丈夫なわけーっ!?」

続いて若干少し興奮気味に、翔太くんがグッと樹との距離を縮めてそう言った。



結局その後から皆からの質問、質問の嵐で…


特に美菜と翔太くんなんか本当に驚いてる感じで、今すぐに教えろって感じだったから…そのままいつも通り、

屋上にて、状況説明中。


っていうよりは…説明は終わったんだけど。


「別に」

そしてもう一つの悩み。


完璧に不機嫌な樹。

見る限りいつも通りのボーっとした感じだけど、…やっぱり、何だか変な違和感を感じる。


「ほらほら、王子、怒っちゃってるじゃん!」

と美菜が少しからかう様に言えば、キッと樹の苛立ちをたくさん含んだ瞳がひっ捕らえる。


…怖いよ、樹……。


「樹…?」

不機嫌そうな樹の顔を覗き込むようにしてあたしがそう言うと、


更に樹の表情は嫌そうな感じになっちゃう。

あ、…あれ?


「……どうすんのよ」

すると今度はさっきまでのふざけた感じじゃなくて、少し真剣さを帯びた声色の美菜が、樹の側に寄った。