「それにそれに!…美菜ちゃんって、可愛いし…」


…っ。


「…そしたらでも、あれだよね?

ちゃんと美菜の家の両親にもあいさつしなきゃ!『娘さんを僕に下さい!』ってやつ!?」


だから何だ。

と、心の底からそう言いたい気分。


「それで?」

結局のところ、心の声は口から言葉として出てい行く。


大体、結婚なんて…今、言われても反応に困る。


「冷たい~!
どうせあれか?…愛ちゃんのが美菜より可愛いとか思っちゃってるんだしょ?だしょ?」


だしょ。

コイツは昔から言葉の使い方が良く分からない。


いまいち人間的にも理解に苦しむ。


けど今コイツが言った事は正しかったりするわけだったり…

「うん、思ってる」

すると急に顔を顰めて、

そのまま俺の頭を少し背伸びして叩くと『いっちゃんの馬鹿っ!』と、


いかにも誤解を招くような言葉を残して、急ぎ足で教室の中に入って行った。



…俺、馬鹿なの?


そんなことをささやかに思いながら、ボーっとした意識のまま教室の中に入って行く。