…樹side




長いよく分かんない式と、校長の話も終わって、ダラダラと流れに乗りつつ教室に向かって歩く。


俺の隣には相変わらずの馬鹿がいて、俺の顔を見るなり何か言いたそうな…


とにかく『嬉しい』とか『楽しい』とか、

そんな気持ちなんだろうな……って予想出来る感じ?



「何?」

面倒な気持ちもあるけど、そうやって何も言わないのにジーッと見つめられる方が逆に抵抗があるし…。


すると、『待ってました!』と言わんばかりに、

「あのねあのねっ!!」

と犬みたいに俺に懐く。


…あのね、って女みたい。

とか思いつつも黙って翔太の次の言葉を待つ。



「俺さぁ~っ、マジで美菜ちゃんのこと好きなんだよね!」

は…?


「で?」

「…『で?』じゃないでしょ!?『で?』っじゃ!!!」


と少し肩を叩いて、俺にそう言うけど…

その翔太の肩を叩くっていう行為が苛っとして、少しだけ俺は眉を顰めた。



「それで…美菜って可愛いから将来的に心配だし…?
だからこの際、高校卒業したらそのまま美菜と結婚しちゃおうっかなぁ~って!」


……。


「俺の親とも、旅行で仲良くなったみたいだしさぁ?」