うーん…と疑問を浮かべつつも、クラスの流れに付いていくように歩みを進める。


「…あー、校長話なっげーんだよね!」

しかめっ面で翔太くんは言う。


体育館にクラス、学年ごとに整列して並ぶ。

男女各1列の名前の順。



だから丁度あたしと翔太くんは隣同士になるわけで、
こうやって暇な時間、他愛のない話をしたりする。



翔太くんは神楽。

あたしは桐島。


小学校、中学校の頃もクラスが同じの時はこんな感じで…いまいち普通な、うん。



「夏休みの時も凄かったもんね?」

そうあたしが言うと『そうそう』と小さくハニカンで笑ってくれた。



「…っつーか、転校生来るって愛ちゃん知ってる?」

コソコソ話みたいに先生の目を盗みながら、翔太くんはそうあたしに言った。



…転校生?

微妙な時期に、来るもんなんだなぁ…。


「何人来るの?」

「1人、しかも俺等の学年って噂」


え…っ!

同級生ってことー?



「そうなんだぁ…、へぇー…っ」

目をパチクリさせながらそう言うと、それを見て面白そうに、翔太くんも笑った。


そんな些細な話をしている間にも、長い長い校長先生の話も終わって、

今では生徒がぞろぞろと自分達の教室に向かっている。


隣には美菜。

前には樹と翔太くん。