「アフタヌーンティーと一緒にどうぞ?」
嫌味を含んだその言い方に、ちょっと眉を八の字にして苦笑いを浮かべてしまう。
まだそこを弄るのか…、と言いたい感じ。
だけど今、手元にあるこのビスケットの存在があたしの表情をすぐに戻してしまうから、あたしはゲンキンな奴だ。
「ありがとうっ」
割れない程度にそれをギュッと握りしめて言うと、美菜は笑いながらあたしの頭を撫でた。
「本当、愛梨は可愛い可愛い」
「…バカにされてる感じだよ?」
あたしがそう言うと『それもまた可愛い』と意味深な言葉を残して自分の席の方に歩いて行ってしまった。
そういえば何か美菜、良い匂いしたような気がする…
何の香水付けてるんだろう?
そんなことを思いながら再び椅子に座ってそのビスケットを眺める。
そうすれば無意識にも顔が綻んで、…いつ食べようかな?なんてことばかりを考えてしまうから、
やっぱりあたしが痩せることは永遠に無さそうな気がする。
すると突然、目の前に犬のような人が現れた。
「愛ちゃーん!お・ひ・さっ!!」
「…っわぁ!?
って…翔太くーん!久しぶりだねっ!!」
今度も久しぶりの再会に嬉しくなって無為にも満面の笑みを浮かべているあたし。
椅子に跨る様にして後ろを向いて、こうやって翔太くんと話すのも本当に久しぶりな気がするなぁ……。
とか秘かに思う。