「おはよーっ!!
ねっ!聞いて、本当に凄くてヤバくてヤバかったよ〜」


教室に入るなり表情を凄い緩ませた美菜が、

若干、少し興奮気味で急接近してきた。



…っおぉ!


驚きながらも身を退けると、
隣にいた筈の樹は何の興味も無さそうに歩いていってしまった。



「お、…おはよ、う」

と驚きをまだチラリ見せながら言う。


何か美菜、化粧が濃くなった?

…何かが変わった?


うーん……。



「マジヤバいんだって!
…ちょー豪華で、マジセレブだったし!本当にヤバい!!!」


『ヤバい』とか『マジ』とか、


何回も聞いた気がするよ……?うん、それなりに。


「良かったね!…やっぱ海外とか、本当に羨ましい」

美菜に変な気持ちを抱えながらも、実際のところはかなり羨ましかったりする。


いいなぁ…って。


けど、あたしはあたしで、
樹と色んな思い出も出来たし……それだけで十分。



凄く幸せだもん…!


だけどいつかは、行ってみたいな、とか。


樹が聞いたら『興味ない』か『面倒くさ』のどっちか。



…だと、思う。