…愛梨Side
結局そのリングはどこを探しても出てこなくて、きっと。
いや……かなり高い確率で、あの日のあの人に取られたままだっていうことが判明した。
あたしはシュンとしながらも、
「……ごめんね」
と、これで何度目になるかも分からない『ごめん』を口にする。
冬の朝は寒く、そして白く。
吐く息すらも白く透明で曇り、ほんの少しだけ目頭がスースーした。
「本当に、本当に…ごめ、ん…ね」
何も返ってこない返事を待ちながら、そうひたすら言い続ける。
樹は何だかんだで『いいよ』とか『しつこい』とか…、冷たいようだけど、それは樹なりの気遣いの優しさで。
でもだからこそ、申し訳無い気持ちでいっぱいになっちゃう。
「別にいいから、本当にしつこい…」
眠気の交る欠伸をしながら樹は横眼でチラリとあたしを見る。
だけど……
やっぱり、やっぱり。
「け…けど…っ!」
そうあたしが口にした瞬間。
樹の手があたしの口元を覆うのが分かった。
……っ!?
「うるさい」
そう言って顔を顰めて、樹は本当に嫌そうな顔をする、それは……それは、本当に嫌々オーラ全開で。
「なに?…そんなに欲しいの?なら買う、だから黙って」
いつものマイペースぶりをここぞとばかりに発揮するかのように、樹は再び小さな欠伸をして見せた。
結局そのリングはどこを探しても出てこなくて、きっと。
いや……かなり高い確率で、あの日のあの人に取られたままだっていうことが判明した。
あたしはシュンとしながらも、
「……ごめんね」
と、これで何度目になるかも分からない『ごめん』を口にする。
冬の朝は寒く、そして白く。
吐く息すらも白く透明で曇り、ほんの少しだけ目頭がスースーした。
「本当に、本当に…ごめ、ん…ね」
何も返ってこない返事を待ちながら、そうひたすら言い続ける。
樹は何だかんだで『いいよ』とか『しつこい』とか…、冷たいようだけど、それは樹なりの気遣いの優しさで。
でもだからこそ、申し訳無い気持ちでいっぱいになっちゃう。
「別にいいから、本当にしつこい…」
眠気の交る欠伸をしながら樹は横眼でチラリとあたしを見る。
だけど……
やっぱり、やっぱり。
「け…けど…っ!」
そうあたしが口にした瞬間。
樹の手があたしの口元を覆うのが分かった。
……っ!?
「うるさい」
そう言って顔を顰めて、樹は本当に嫌そうな顔をする、それは……それは、本当に嫌々オーラ全開で。
「なに?…そんなに欲しいの?なら買う、だから黙って」
いつものマイペースぶりをここぞとばかりに発揮するかのように、樹は再び小さな欠伸をして見せた。