あわわわわ…っ?!


口をパクパクさせて、それで一緒に目もパチパチ。


「痛ってぇ…っ!お前、…何すんだよ!!」


何って…、え?

この人ちょっとヤバいんじゃ?不審者?セクハラ?


「ち、…痴漢っ!」

叩かれた頬を抑えてその人は、苛立った様子であたしに詰め寄って来る。

けど、それに伴って距離をあたしはズイズイと取る様にして後ろに下がる、…というか本能的に。


舐めたよね…?

この人さっきあたしの唇、舐めたよね!?


…何で?


「…はぁ?…痴漢?…てめぇ、なめてんだろ」

更に近付く距離。


危険信号が出てるよ!!
もしかして、樹よりも捻くれてるかも…この人の性格。


っていうか!

樹!…樹はどこにいるのー??


「なっ!…舐めたのは、あなたじゃないですか!」

ビクビクと弱小ながらも必死で言い返す。


けどそのあたしの言葉に反応するように“彼”の眉毛がピクリ、と動く。


ひっ…ひぃ!


「へぇ~…、

お前、面白い女だな」


「…は?」


キョトンとするあたしを置いてこの人は、さっきまでの怒った感じでは無く楽しそうに笑みを漏らしだした。