「……。」

謝罪の言葉を並べてもいまいち反応が無い相手に対して、どんどん嫌な感じがしてくる。


もしかして…


あたしのせいで何かものが壊れた、とか?

それとも、苦痛なんてもんじゃないよう傷を負ってしまったとか…?


どんどん深まり膨らむ妙な被害妄想。


「…あの、……その…っ」

下げていた頭を上げて見上げる。


「……。」

うっわ…っ!

軽く目を見開いて、本日何度目になるか分からないゴクリと唾を飲み込むあたし。


“その人”は凄く綺麗な男の人で、
もしかしてモデルさんとか…?それとも芸能人とか?

格好良いとか、そういうんじゃなくって、こう…何と言うか、『綺麗』って言葉が本当にしっくりくるような人。


「す、す…すみませんで……っ?!」


─っ…え??



カチンと石のように固まったのは、あたし。


生温くてザラリとしたモノが唇ギリギリのラインをなぞる様にして伝う。




こ、これ…は、一体……?



「アンタ、何か試食、食っただろ?」


は?



「…あ、……あ、」



─バチンッ!!


「あぁぁぁぁぁぁーーっ!!」

乾いた音と、響くのはあたしの悲鳴。