家の近くのスーパーの中をうろうろ。


「…お鍋だから、お肉……お肉だよっ!!」

思い出したようにあたしが言えば、フッと馬鹿にするような笑みだけが返ってくる。


へ…?

「肉はある、白菜、豆腐、大根。それとポン酢」

まるで台本をそのまま何の感情も込めずに読んでる、大根役者の如く。

樹はそれら食材をスラスラと言ってみせた。


「…何で?」

そこで出てきたあたしの言葉はこれだ。


本当、情けないというか…


って…あれ?

樹はどうしてあたしの家にお肉があるって知ってるんだろう?

新たな疑問浮上。


「お肉あるの、知ってるの?」

さっき自分が言った言葉に付け足すようにして言うと、やれやれと言うのかのように。


「聞いてなかったの?」

呆れた声が返ってくる。


その言葉にポカンと口を開いていると、

樹はじぶんが持ってるカゴの中に丁度通りかかった白菜の場所から、目的の物を選びぬくとヒョイッと入れた。


「自分が頼まれた癖に…

愛梨の頭の容量って、多分すごく少ないね」


無表情で言われたからこそ悲しくなってくる…


というか!?

虚しいって、感じ…かな。