シュンとする愛梨の頭を撫でながら自分の胸に引き寄せる。
「してないから」
俺がそう言うと、愛梨の腕が背中に回る。
そして服をギュゥッと強く、皺が出来るんじゃないかってぐらいに強く強く握り締めた。
「…つけてくれる…っ?」
不意に俺を見上げるようにして潤んだその瞳で言う。
「どうだろう?」
クスッと笑いながらそう言う。
ちょっと小さな穴があったり、編目がずれてたり。でも全部が黒い毛糸で作られてたからそこまで目立たない。
二色とか三色とか…他の色を使わなくて正解だよ。
って、一色でしか作れなかったとか?
そう思うとやっぱり面白くって、そんな愛梨が可愛くて仕方が無くて…
「じゃぁ…寝る時にでも、使って…?」
寝る時?
え、寝る時ってマフラー使うの?
「そういうものなの?」
と俺が少し驚きを見せながら言うと、
愛梨は横に首をブンブンと振った。
「…違うけど、……せめて、」
赤く染まるその頬に再び唇を寄せて、長い髪を耳に掛ける。
「大丈夫。ちゃんと使わせて貰うよ」
そしてそのまま俺の唇は薄紅の熟した愛梨の小さく綺麗な形をした唇へ。