少しの躊躇いを見せながらも、愛梨は袋を手放した。


「…開けていい?」

俺がそう聞けば、ちょっとだけ間を置きながらもさっきみたいに縦に大きく頷いた。


そのまま綺麗に袋の口を結んでい水色のリボンを解く。

時折、俺のことをチラリチラリと確認するみたいな愛梨の視線を感じる。


俺がその袋の中に手を忍ばせたその時。


「─…やっぱり…っ!!」

愛梨の不安げな声が響いて、俺からその袋を取ろうとした。


だけど時既に遅し。

俺の指先には柔らかい布のような…毛糸のようなものが触れた。


「…あ、」

潤む瞳と赤く染まる頬で俺の手元をジッと見つめる。



??

え、もしかして…


指先に触れていたモノを取り出してみる。

「これ…、どうしたの?」


俺らしくも無いような、口を少し開けたまま驚いたと、そう言ってるような表情で愛梨をただ茫然と見つめる。

そんな俺に対して愛梨はさっきよりも不安げな表情をする。


「…本とか、…美菜とかに聞いてやってみたんだけど……っ…上手く。出来なくって…っ」

ヒックヒックと子供みたいに泣く愛梨。


その“上手く出来なくって”と言う言葉の通り。

俺の手にあるマフラーの編目はめちゃくちゃな感じだった。