それに対して樹は嫌そうな顔ひとつせず、

というか…

少しだけフッと不敵に微笑んで、あたしの顎をクイッと手慣れた手つきで引き上げると、そのまま唇を素早く奪われてしまった。


…っ?!?!


「─…ん…っ!」

触れるだけのキスだと勝手な考えを即座にしていたあたしは、この3秒後くらいに起きた出来事に驚くのでした。


「……んっ…!?…っんは……」


─ッ!?


「ちょっ!…ちょっと何すんの!?!?」


し、舌!


…こんな人がいっぱい居る所で!!


ブンブンと顔を振り回して…って振り回してはいないけど、とりあえず周りを確認してから、

フーッと息を吐きだして一安心してみる。


「何って、キス」

顔色一つ変えずにサラッとそう言ってみせる樹は…やっぱり樹だ。

と、何をわけの分かんないことをまたまた考えてみたり。



「…そ、そ、そんなの分かってるよぉ!!」

最初の方の『そ』っていうのが裏返ってしまったせいか、どんどん顔が熱くなっていくのが分かる。

ちょっと…恥ずかしい。