…愛梨side




最初は隣に住むいつも側に居た幼馴染。


自己中で我が儘で。

何より世界が自分中心に回ってる。なんて思ってそうなぐらいの男で。


けど気付けばあたしの中で…

その“自己中我が儘男”が誰よりも大切な存在にになっていたわけで、



しかし今は、別の問題が…





「男ってのはそういう生き物だから、うん」


不安の中の不安というような表情のあたしを舐め回すように見て、
そんなことを言うのは恋に詳しい?かは分からないけど…友達の美菜。


そして今何を話しているかというと…



「樹に…樹に限ってそんなことないもん!」


声を荒げてあたしはバンッとテーブルを叩いて立ち上がる。


…その瞬間、

シーンと静まり返る店内。


“やってしまった”


「ちょっと!!…静かにしてよ!恥ずかしいじゃんっ」

満更でもないって感じの美菜の表情に、
少しだけ冷やっとしてしまう。


「あ…ご、ごめん」


眉を八の字にしながらゆっくりと再び椅子に座るとまた店内は元の雰囲気に戻っていった。



「とにかくっ!!ちゃんと聞いてみなよ、愛しの“氷の王子様”に」


ゔ…っ!



美菜は不適に笑ってみせてからパフェを口に運ぶ。


あ、美菜のダイエットはもう終わったとか…何だとか、
よく分からないけどきっと失敗に終わったとか、そういう理由だとあたしは思う。



「それは言わないでよぉ…」

しかし言われたくないことを美菜に言われてしまったあたしは、

…どうも表情が曇るわけで。


実を言いますとあの文化祭の日から学校中の人達に樹は、


“氷の王子様”


とか呼ばれてるんです…はい。