二人は大通りから外れ、人通りのかなり少ない怪しげな路地に歩みを進めていた。




堂々と歩くリズの後ろを、フェニルが委縮しながら歩いて行く。



二人の間に会話はない。靴音だけが静かに響きわたる。



そのまましばらく歩くと、リズは不意に立ち止まった。




「ここです」


その視線が指す先には、ドアノブに”仕事紹介します”と小さな看板がかかっていた。



ごく普通のドアにかかっていただけなので、普通に歩いていたら気付かないとフェニルは思ったが、こんなところは一般人は歩かないことに気づいた。



「・・・本当にここで合ってるのですか?」



不安になったフェニルは、恐々リズに問う。


もしかしたら、この青年についてきたのは間違いだったのかもしれない、浅はかな自分の考えに少し後悔した。


自分に少し優しかったからと、信用しすぎていたのかもしれない。