「まあ、呼び方についてはまた今度話しましょう」


普段はほとんどしない、少しだけ困ったような笑顔。




「そんなことより、これからどうするおつもりですか?」


今一番聞きたいことを率直に述べる。

そうでないと、通じない気がしたのだ、このフェニルには。



「はい。これから街に出てお仕事を探そうと思っています。私にやれることなら何でもやるつもりです!」


意気込みとともに小さなガッツポーズをつくってみせる。



そのガッツポーズに少々不安になりながらも、リズは笑顔を絶やさない。



「では、私とご一緒しませんか?私もこれからバイト探しに行くところなので」


「よろしいのですか?」


「えぇ」




リズとしてもそちらの方がありがたかった。


下手に自分で動いてもらうと怪しげな店にでも安易に入って行ってしまいそうだったから。


被害者との接点は持ってはいけないことになっているが、それはあくまで仕事上、といま勝手に解釈してのこと。



たぶん、というか、本当はダメだろう。



しかし、この少女を放って置くわけにはいかなかった。