「モンテペール城につきましては、元城主の娘の物であるため差し押さえはしてませんその他、女城主を気取っていたベルが買いあさっていた物のみ絞って差し押さえてあります」



手短な報告も添える。



上司のクレスは文面を見ながら、少し眉間にしわを寄せる。



「城主の処分については上が決める。娘については被害者として扱う。処分はないだろう」



淡々と話すクレスに感情の色はない。


完全に仕事モード。

常に仕事モードであるのだが。

表情らしい表情を断ち事実の確認のみを続ける。




「わかりました。これ以上は私の管轄外ですのでお聞きいたしません」



踵を返そうとしたリズの背中にクレスの言葉が落ちる。


「どうやらその娘、あの城を貸し出しているようだ。その後の娘の足取りは分かっていない。まさか、お前が誑かしたか?」